舉報鑒賞

ストーリー構成が素晴らしいですね。
獣姦・強姦と言った、通り一辺倒で軽薄なストーリーになりがちなテーマを、巧みにシナリオ構成の道具(あるいは部品)として使いこなし、メッセージ性のある、骨格の確かな物語に昇華させています。
物語の内容自体はありがちなものですが、「人間」と「獣」双方の視点から捉えたヒューマニズムやエゴイズムを要所要所に絡ませ、強姦ものに見られる強引さを感じさせない作りになっています。

ゲームシステムは普通のアドベンチャーRPGですが、周回プレイでのステータス引継ぎや、攻略情報も「情報屋」から購入できるなど、そのテのゲームに慣れていない人への配慮が伺えます。
絵柄については若干クセがあり、パースずれが少々気になりますが、塗り方と各パーツの描き方が上手いので、数をこなせばどんどん上達しそうな感じです。これからに期待したいですね。

全体的に高水準な作品に仕上がっており、ゲームが苦手な人への救済もあるので、シチュエーションに生理的嫌悪感がある人でなければ、買って損はありません。
ひとつの「物語」として秀逸な作品だと思います。