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全イベントは見てませんが、クリアしたのでレビューを。

良い所は数ありますが、やはり最も目を引くのはマップの作りの緻密さ、繊細さでしょうか。

生き生きとしているんです。
暖かな日差しとそよぐ風。
石畳を踏めばコツコツと足音がなり、
草むらを歩けば千切れた草花が散る。
水に踏み込めばパシャッと飛沫が上がる。

また、マップチップの配置も非常に丁寧で、生活感溢れる町の様子がとてもよい。
グラフィックは多くを素材サイトから借りられているようなのですが、
配置の仕方ひとつでここまで魅力的にできるのかと感心します。
おかげで、歩き回っているだけでもなんだか楽しいです。

戦闘はかなり簡単な部類で、プレイの仕方によってはまったく負けずに最後まで行けるでしょう。
この点には良し悪しがあります。ボス戦はともかく、ザコ戦では敗北して襲われるかもという緊張感に乏しいのです。
戦闘を楽しむゲームではないので必ずしも悪いわけではないのですが、
敗北エロとの噛み合わせはもうひとつかなと感じました。

ストーリーはかなり淡白で、イベントで物語らしく語られる部分は始まりと終わりの部分に集中しています。
が、この作品の楽しみどころは、借金を返すまでの小さなイベントの積み重ねで、重厚で大きな物語ではないのです。
主人公の体験するひとつひとつの出来事、それらを通して感じられるドラマこそが重要で、
つまり、主人公のキャラクターを確立してはいても、主体は意外なほどにプレイヤー側にあるゲームなのです。

小粒な作品で手軽に遊べますが、体験は濃い目です。
難度の高いスリルあふれる冒険とは無縁なので注意。
体験版を触って、この世界にもっと触れてみたいと思った方には、楽しいものとなるのではないでしょうか。