舉報鑒賞

　本作はファイナンシャル・ドミネーションという、平たく言いますと自分の資産を貢ぐことに快楽を覚えるという大変マニアックな性的嗜好を取り扱った作品です。
　ですが、いやはや、これは驚くほどに官能を秘めた作品です。秘めたと言いますか、そういうエロのための作品なのですけども、そのジャンルに通じていない人も十全に楽しめるだろうテキストと演技による逸品なのです。

　バイノーラルで録音された音声は「ある一室でのドラマ」という作品のシチュエーションによく沿っていて、聴き手は上位者である語り手の動きを感じながらドラマに入っていくことができます。
　またCVを担当されている野上菜月さんの演技が神懸ってますね。悪意ある演技は、例えば最後のあいさつのぞんざいさなどにもよく表れていますが、とにかくエグい。見下しを露骨に感じさせる口ぶりはしかし甘く入り込んでくるものであり、カウント自体も官能的な代物で、再三聴いたならカウントだけで本当に射精しそうなほどに濃厚なエロスです。
　テキストもまた、洗脳的な要素を感じさせる、ファイナンシャル・ドミネーションの楽しみを植え付けるような強烈な物でした。いや、堪能させていただきました。

　もちろん、M向けの作品ではあるので、その時点で人を選んでいるところはあります。ただ、そうした気質をお持ちの方なら十全に楽しめるだろう良質な作品でした。お勧めしておきます。
　サンプル自体が独立した作品になってますので(テキストは作品内容にある通りです)、気になった方はまずそちらをご確認ください。