舉報鑒賞

　本作は深奥に住まう神様の元へ向かうために、無数の通路と扉で構成された迷宮のごとき神殿を進む聴き手が、悪魔にそそのかされて快楽に溺れてしまう催眠音声作品です。
　.␣さん同様に催眠音声作品を多く手掛けているF・A・Sさんとのコラボということで、全体的な構成や作品の雰囲気などで随所にそのカラーが見える作品になっていますね。
　背徳をテーマにしているところなどはF・A・Sさんらしいなーと個人的には思います。

　本作はナレーション形式で展開される作品で、語り手と、ナビゲーター役を務めるシスター、それに聴き手をそそのかす悪魔の三者をCVを担当されている柚木朱莉さんは演じておられます。
　柚木さんの演技は緩急に富んだもので、聴き手を惑わす悪魔の様などは本当に素晴らしいものでした。

　背徳がテーマと言うことで、自ら神への信仰を汚し、堕ちていく快楽が中心に描かれています。
　そうした精神的な悦楽が中心であり、追い詰められる形でドライ・セルフの絶頂に導かれる一方で、連続絶頂的な執拗さは薄いですね。その意味ではわりとあっさりかも。
　セルフの絶頂はカウント無しでストレートに来ますので、その点のみ注意を喚起しておきます。

　魅力的なファンタジーでの一幕、堪能させていただきました。
　神への信仰心を汚され、挙句に清純なシスターの心さえ汚す背徳がもたらす快楽は、世界観が堅牢であるがゆえに一層強いものです。
　ファンタジー好きの方にぜひお勧めしたい逸品ですね。