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「悪魔百禍 ~淫蕩の申し子達~第一幕・セイレーン」 へのレビュー

オススメ! 巨躯の怪異であっても、弱った美女なら惹かれてしまう

2017年08月08日   穂積 さん

このレビューは参考になった x 5人

[作品内容]に書いてあるように作中の港町では有名な怪奇談で、主人公視点の青年も君子危うきに近寄らずを決め込むつもりでした。
しかし、美女型妖怪の真の恐ろしさはそこからすでに始まっています。
つまり、一目見て危険な怪異だと判別できたのに、その美しさゆえに目が離せず、「理解」と「行動」が反比例するように惹かれてしまうのです。
半ば陸に打ち上げられた姿は浜に迷い込んだイルカのようで、弱々しくて身動きもできそうになく、庇護欲をかき立てられ、余計に警戒心を削がれてしまいます。
いわば「美貌と衰弱」が「伝承と大柄」を打ち消しているのです。
大の男が小さく見えるほど大柄な女体は本来なら勝ち目のない圧倒的な体格差で、相手が恐ろしい猛獣だとしたら一目散に逃げるべきです。
ところが、女怪異はその巨体を母性的な包容力として使い、青年を虜にしてしまいます。
デカい女に安心感を求めたい人にお勧めの作品です。

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