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刹那で儚げなストーリーとは対照的に、生命力
を強く感じさせる体幹のヒロインが、強力な牽
引力を持って、読み手を、作品世界にグイグイ
引き込む”inono(いのの)”先生、短篇五本、前・
後編・構成の一本を収録した、自身初の単行本。
印象に残る収録作品は、お姉ちゃん子な、弟の
”ユマ”。幼い日のイケナイ戯れから姉”ミナ”と
離れて暮らす”ユマ”。久しぶりに再会した彼女
に・・・な、短篇「姉色空模様」。イケナイ戯
れの追体験を丁寧に描き込んだ、お話でした。
読んでいて感じたのは、ヒロインを、骨太かつ、
しっかりとした体幹で描くことで、儚げで刹那
なストーリーを際立たせている点。男性が思い
描く、幻想的な美少女像と、生命力・生活力が
あり、逞しささえ感じる、ヒロイン本人との相
容れない対比が、”inono”先生の表現したかっ
た所だったのかな、と、思いました。登場する
ヒロインの雄々しさ・逞しさが記憶に残る一冊。