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「遠ざかる君 ここにいる僕」 的鑒賞

当たり前のように去りゆく君。

2016年11月30日   色月 先生/女士

このレビューは参考になった x 8人

本作品は典型的なNTR作品である。
一般的な物語では、男主人公の想い人は罪悪に苦しみながら盗る男に抵抗を示すが、こちらではヒロインはかなり早い段階で間男に心から惚れ込んでしまう。

だからこそ、NTR要素は強烈である。主人公視点とヒロイン視点で交互に実情が明かされるが、昔の記憶のままの彼女を大事にする主人公に対し、清楚な容姿から想像もつかない淫靡なヒロインの痴態がギャップを超えたエロさを提供する。

テキストの端々も、幼き頃からの時間を重んじる主人公と、軽んじる言動・心情が描写されるヒロインは正に「遠ざかる君」である。

好きなあの娘が、軽蔑する人物の虜に自らなってゆく。その、どうしようもなさが虚無感を強調する。ヒロインがあくまで主人公を軽んじながらも嫌いではないこともかえって拍車をかける。

間男とヒロインは相思相愛なのだから、問題はないように思える。しかし、きっかけと間男の性格を考えるならば、ヒロインの幸せは保証できない。
恋心の経緯は周りの風聞とSEX時のオルガスムスを愛と勘違いしたからだろうし、間男は「心から惚れた」といっても、女好きだからである。

しかし、幸せが継続しているかは、もはや確かめられない。この終わりも、「不安」と「喪失」を際立たせ、NTR好きを満足させる。

* 為必填項目)

緣由*