舉報鑒賞

主人公もヒロインも、それぞれに歪んでいる。
それを受け手が受け入れられるかで、物語に対する評価は大きく変わるのではないでしょうか。
主人公の性に対する劣等感や欲求とのコンフリクト、それを受け入れてくれるヒロインに対しても、躰を求める傍らで、冷めた目で見ているような諦観。ヒロインの優しさもまた、いろいろな諦めの上に成り立っている。
そんなお互いの歪んだ部分が噛み合う様に絡み合う様に、なんども肌を重ねていく様がとても美しいと感じました。
全体として感情描写は陰鬱としていますが、鬱が苦手な人でも十分な実用性があると思います。イラストも声もBGMのチョイスも良く、何よりテキストが背徳的で非常に興奮できると思います。
こういった退廃的なお話で、爛れた関係の結果ヒロインが妊娠する結末までしっかり続いてくれるのも嬉しいポイントですね。
どちらの結末もハッピーエンドではないですが、それもこの物語が一貫性もって動いている、ということだと思います。
体験版をプレイして、このお話の雰囲気が受け入れられるならば、購入しても損はないでしょう。値段以上の価値がある作品です。