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「思春期なアダム9 LOVE」 へのレビュー

オススメ! めでたしめでたし

2019年01月04日   雪村 さん

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悩み、苦しみ、怒り、悲しみ、恐怖など、負の感情を持つことはつらいものです。できればそんなものは持たないで生きていければ言うことはないですね。ただ、実際問題として人間同士が関わる上で、そうした負の感情を抱くことは避けられない。そうした負の感情、すなわち悪意に直面してしまった睦月くんは少年らしい潔癖さから起こしてしまった世界の変革。それに対して否を唱えようとする少女たちの戦いが描かれます。

結局、黒崎俊太郎に説明させたのが良くなかっただけで、他の誰かがもう少し穏やかに説明できていればこんな事態を引き起こさなかったのではと言う気もしないでもないけど、まあ作中でも書かれている通り、結果論ですよね。むしろ世界を滅ぼそうとしなかっただけマシと言うべきか。

俊太郎で思い出しましたが、八巻、九巻と男たちの描写がすごく良かったと思います。調教師の芝木、主人公にある意味伝導役となった黒崎俊太郎、睦月に対して優しくも厳しい言葉を投げかけるラファ。どれも出番は短いながら、とても魅力的に描かれています。芝木は八巻で一番好きなキャラだったし、俊太郎はなんか憎めない愛嬌があるし、ラファはどこか睦月の”兄”のように、好意的でありながら一線を引いた厳しさが印象に残りました。

さて、物語は最終的に不和を、人間の負の感情を否定しない形で終わりました。なぜなら悩みや苦しみは、今を少しでも良くしようという意志と裏腹で、怒りや悲しみは理不尽に抗う力で、恐怖を生きる本能と同義。負の感情を否定することは人間の正しさを否定することでもあり、そうした理屈をもろもろ飛び越えて、恋する少女の熱情はあらゆる否定をひっくり返す。過去を見るのは老人で、未来を希望するのは若者。ザ・王道だけど、そいうのが”正しい”ことなんじゃないかと思います。

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