一之瀬には最初から違和感を感じていた。
目の表情に乏しく、キスをする時も目を開けて
相手の顔色を伺っている様子が気持ち悪い。
誰にでも誠実そうに振舞ってはいるが、心の距離は遠い。
その理由がフラッシュバックにより明かされた時、
ああなるほどな、とすべての疑問が溶けたような気がした。
彼は人の愛し方を知らないのだ。
でも、心は常に誰かを求めていて、そばにいて欲しいのに
どうしていいかわからない。
実花以外の女の子に手を出すのは実花に否定されて
グラついてしまった心のバリアを立て直すためには必要不可欠な存在だ。
巧みなsexテクニックも離れないで欲しいという魂の叫びなのだと思うと
一之瀬が哀れに見える。
もうここまで来たら、彼には求めるものすべてを与え
その上で何もかも奪い去ってほしい。
かわいそうな彼を救うにはそれしか無いような気がする。
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