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「茨の棘 籠の蝶」 へのレビュー
2019年09月24日 ダブルキッシュ さん
このレビューは参考になった x 1人
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大筋はご主人×メイドと王道なお話なのですが……一筋縄ではいかない。初期揚羽の無機質さがすごくてメイドロボのようだ。無機質過ぎて普通なら悪役に徹しそうな柘榴さんすら完全いい人に。それぞれの性格と立場的にもっと痛々しい話になりそうなのが「ちょっとまてこの子ヤバい!」とオロオロ優しい面を見せてくるのが温かくも泣けるやら笑えるやら。キャラ全員過去がきつくて読んでて辛いところがあったんですが(特に揚羽の父の最期とかいろんな意味で後味悪い)、あらゆる意味で笑うしかないような温かさが中和してくれてそこらへんは読みやすかったです。 作中でも言われてますがメイン二人が非常にじれったく、締めに入る辺りでやっぱりこのくらいで収まるのかと思いきや無事に着地して一安心でした。二人の過去を思うと少し心配もありますが、つらい過去があっても思いやりを忘れない彼らなら大丈夫だと思いました。 柘榴さんは初登場インパクトから初期揚羽パワーで素に戻った辺りで完全に好感の持てる青年として愛着がわきました。雛菊ちゃんもキャラデザも面倒見のいいお姉さんっぷりも可愛くて大好きです。 茨は名前と内面がいい意味で合ってない人だな……wwって思いました。なんだかんだと不器用な良い人で。開始時のエロスはどこに行ったんだと思うくらい最後は印象が変わっていましたが、最終的にはしっかり決めていた辺りはそういう名残がある気がします。揚羽も開始時は痛々しいほど無機質でしたが、柘榴達に気づかいを見せた辺りで娘の成長を見たような気分に。 各キャラ視点の内面描写の掘り下げが多いぶん、メイン4人の持ち味がわか りやすく、物語の優しさに華を添えていたと思います。 重くインモラルなはずなのにキャラクターの良さに微笑んでしまうような、傷ついた植物達が弱った蝶をそっと守っている園をこっそり垣間見たような、独特の優しい物語でした。
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