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「【バイノーラル収録】ただいまお兄ちゃん」 的鑒賞

いびつな感情を埋めあうような

2019年09月12日   繭と朝露 先生/女士

このレビューは参考になった x 7人

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ほとんど監禁状態だったのかな?というところから逃げ出した妹が、結局外の世界では生きていけずに帰ってきてしまった場面からスタートします。

お兄ちゃん、ほんと怖いです。
ものすごく酷いことを言われるのですが、「どれだけ心配したと」等、暴力的な言葉の間にも妹を想うフレーズが差し挟まれていて、それがなんだかとても切なくなりました。
行為中に思い出話のように語られる凄惨な過去から、2人がどうしてこうなってしまったのかが徐々にわかっていきます。
お兄ちゃんの言葉からしか察することのできない妹ちゃん像が、聞き進めるうちにガラリと印象が変わりました。お兄ちゃんには自分がいてはいけないという気持ちと、お兄ちゃんには自分がいないとという二律背反な気持ちがあったのかなあ、なんて想像してしまいます。

また、2回目の「おかえり」以降がなんとも切ないです。「なんでこんなに好きやのに」という台詞が、文脈とは違う意味にも聞こえました。
これだけの役を演じきる志羽至さんもすごい……。かわいらしいお声のイメージが強い方だったのですが、ドロドロとした感情や余裕のない衝動に戸惑いつつも強くあろうとする男性のお声でした。
暴言のターンは本当につらくてつらくて。でもそのぶん、優しいひとことやラストシーンの演技が沁みました。
こういうのを知ってしまうと、普通の優しさじゃ物足りなくなるのではと心配になります……笑

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緣由*