舉報鑒賞

とても良く練られたストーリーで、｢これはどういうことなんだろう?｣｢これはどういう思いで話しているんだろう?｣と考えながら、考えさせられながら拝聴しました。
音声視聴の前に【掲示板】という文章が本編1になっていますが、この掲示板を読むことで、ストーリーがよりリアルに、私たちのいる世界の中のどこかにあるんだと印象づけられます。ちゃんとこの文章を読んでから視聴することを強くおすすめします。

主人公の明兎くんとヒロインは共通点があり、心を通わせていたのに、その共通点そのものがそして周りの環境が結局は2人を引き離し、引き離されたことで明兎くんの押し潰されて歪んでしまった心が加速してしまったんだなと思います。
どうして2人で幸せになれなかったのか、幼い頃に願ったささやかな想いさえ叶わなかったのか、とても切なくて悲しくてやりきれなくなりました。

また、明兎くん役の十月トウマさんの演技も素晴らしかったです。ずっと辛くて苦しくて、慟哭や嗚咽が続く明兎くんを演じきって下さって十月さんのお声でより明兎くんに感情移入出来ました。最後のトラック5は泣いてしまいました。

Hなシーンは2回ほどありますが、エロさを楽しむと言うよりは、この作品のストーリー性を高めるものかなぁと思います(もちろん十月さんの演技が素敵なのでちゃんとエロさもありますし、ゾクッとしますが、行為そのものよりも明兎くんの気持ち・ヒロインの気持ちを考えてしまいました)

本編試聴後のSSで、真相が明かされますが、そこから冒頭の【掲示板】の文章を思い出すと、この世の中の無常さ、息苦しさ、虚しさを痛感します。
何が幸せで何が不幸せなのかなと考えさせられました。
ぜひストーリーをしっかり聴いてもらいたい作品でした。