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基本的には全ての音声作品に言える事ではありますが、この作品は特にイヤホン・ヘッドホン必須ですね。

雨音が物凄くリアルであり、加えてパターンが一つではありません。
メインである声優さんの声や台詞との相性も良く、互いの良い所を
打ち消し合う事がなくて、見事に調和が取れていました。
正しく『環境音』として最高品質の仕事をしていたと言えるでしょう。

そしてシナリオについてですが、こちらはおおむね搦め手の少ない王道的な内容でした。
設定に極端な奇抜さ等がなく、鑑賞された方は大体次の展開が読めるかと思います。
一見、こう書くと些か否定的な意見のように受け取られるかも知れませんが、
実際は『ハッタリに依存せず、物語を築く上で必要な要素を
一つ一つ丁寧に組み上げた名作』と言うのが私の評価です。
また、作中の全ての設定がベタに作られているという訳でもありません。
これはややネタバレになってしまいますが、作中にはスマフォが登場しますね。
具体的には女の子がより主人公に心を開く切っ掛けになるアイテムとして登場しますが、
この辺のやり取りは本当に和む一方で、「えっ!?　スマフォあるのっ!?」と戸惑いも抱きましたので、
評価・感想に付いては意見が分かれるかも知れません。
なお、自分はこのアイテムの登場で、主人公の正体や作中の世界観に興味が湧いてきました。

最後に、この作品で声優さんを務めていらっしゃる柚木桃香さんについてですが、
この方の演技は本当に素晴らしかったです。
自信なさげに話し掛ける台詞等は勿論のこと、すすり泣くような声で
主人公に本音を打ち明けるシーンなど、とにかく聴いてて胸が震えます。
正に『迫真』と形容すべき名演でした。もう、涙腺の弱い方は注意が必要ですね。