前作宇宙人の家にて、ついに蝿との初交尾を果たした白瀬。その後彼女は、ある決意をする。そして物語は、みっくんの"そんな彼女の笑顔が好きだった"という独白からはじまる。
やはり後編ということで、前作以上にカタルシスを感じます。蝿を受け入れられるようになった白瀬の身体は、サンプルにもあるようにどこか影のあるようなおとなしい印象の彼女からは想像もつかないような扇情的なものになっていますし、その白瀬に声をかけるみっくんの鼻をつまむ仕草など、細かいところにダークな要素が顔を覗かせます
そして、エロパートでは興奮する蝿以上に行為を懇願する白瀬の獣のような姿。彼女の回想、そしてその悲願を叶えた白瀬の心情を描くことで、蝿との交尾というおざましい嫌悪感を読者に与えることなく伝えています
物語は閉幕に向かいますが、ここからがすごい。設定では宇宙人の家とは蝿に嫉妬した男性が彼らの居住区を揶揄した言い方とありましたが、本当の意味はおそらくこういうことなんでしょう。暗転し、場面を移して、クローンとはなんぞや、どうして彼女達は嬉々として蝿を受け入れたのか、ついにそれが明かされます
クローン技術、そして宇宙人とされる蝿、どちらも悪意なくそこにあるだけなのに人間という生き物に汚される描写は考えさせられました。昨今流行りのループもののような締めでこれまた好きなひとはいいENDですね
画、シナリオ、世界観全てが絶妙の塩梅でマッチしている作品。作者さんの才能にこれからも期待します。
|