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他の悪堕ち作品とは一線を画する作品です。
よくある悪堕ち作品は敵に籠絡されたヒロインのコスチュームおよび性格が変わり、ひたすら主人公を罵倒したり、無条件で敵を肯定したりするようなもので、悪堕ち以前とは最早全く別のキャラクターとなるものがほとんどです。
しかし、本作品ではヒロインの第一とするものが変わりつつも、キャラクターの根幹は変わらず、それに合わせて歪められている描写が多く見られます。

ひとつは堕とされたあとも変わらず主人公に対して好意をもっていることです。それは敵の親玉を主人公が殺そうとした際はやめるように呼びかけるに留めていたのに対し、主人公の友人が邪魔したときはとびきりの殺意を向けていたところにも見て取れます。
一番の好意の対象が敵の親玉に変わっているものの、ヒロインが主人公のことを好きな気持が残っていると思わせる描写が多く見られ、主人公を堕落させ、敵の親玉の奴隷(味方)に引き込もうと、あの手この手で襲ってくる姿はすごく良いです。

もう一つはヒロインが単なるイエスマンではないことです。
それは堕とされたヒロイン達が無条件に親玉に従うのではなく、堕とされる以前の自身立場を利用し、自身で思考した上で作戦を立てて主人公を襲ってくるところです。そのため、時には敵の親玉に提言することもあり、単に見た目が変わり敵に従うだけの存在ではなく、彼女達の根本が変わっていないところを覗かせつつも、どうしようもなく歪んでしまっているところを実感させてくれます。

兎に角、本作品はキャラクターの心理描写に拘っており、愛情、友情が変質して、大切なものすべてを敵に捧げていくヒロインの姿に胸が苦しくなりつつも、どうしようももなく興奮してしまう素晴らしい作品です。

学園がマスカレイドを育成する施設となり、カイくんにかしずく騎士団が出来上がる日が楽しみです。