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「鈴の音と共に」 へのレビュー

"残された時間が僕らにはあるから"

2017年04月26日   伊達さん さん

このレビューは参考になった x 8人

前二作にてサークルのマスターピースにしてケモノビエントの金字塔を打ち立てたシリーズの恐らく最終作?が当音源。
これが奇を衒わず堅実にこれまでの成果をグレードアップしてみせた、堂々たる傑作に仕上がった。


/育たないで萎れてた新芽みたいな音符を / 二つ重ねて鳴らすハーモニー

前作で特徴的だった手持ちの鐘の音を使ったパートは、音を増やし、セリフまわしも安眠誘導を強く意識したものになっている。
こうした前作からの流れを汲む部分は、シリーズのトレードマークであるしっぽでの耳掃除や、たっぷりと時間を使いテンの心境の変化を描いてきたシナリオにも現れている。


/ありふれた時間が愛しく思えたら / それは"愛の仕業"と小さく笑った

シリーズ全体を見渡した時に驚かれるのは、この物語は最後までありふれたものしか描かなかったということだ。
同じ場所で、同じ空気の中同じ時間を重ねる。
そのときにむしろ、機微とでもいうような心の些細な心の変化や、雨や季節の虫の歌声など、小さな違いが驚くほど繊細な表情を見せていることに気づく。


/緑道の木漏れ日が君に当たって揺れる / 時の美しさと残酷さを知る

シナリオ的には、休日屋シリーズから引き継いで時間というものに対してどう折り合いを付けるか?という話。
それは作品を聴いている僕らの問いでもある。
永遠に続いてほしいと願う時間ほど、永くは続かない、いつか終わってゆくと知っている。
いつか夢は覚めて朝が来て、現実の一日が始まっていく。
この作品がその時にあなたをどう外の世界へと送り出すのかを聴いてほしい。


…オマケまで至れり尽くせり…なのだが、耳かきは性行為なので(誤った性の知識)、テン様に操をたてる意味であれは"夢の中の出来事"と思って聴いている。
完璧な作品だけど、ひとつだけ要望を言うと、価格。せめてこの三倍はお金を払わせて欲しい。

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