舉報鑒賞

痴漢を取り扱った音声作品そのものが全体の割合では多くはありませんが、その中でも今作は数少ない中でも独特な作りになっていると思います。
ベースは女の子が男(聞き手)に痴漢されることに変わりはありませんが、男は言葉を失った代わりに触れた人の心の声が聞こえるという力を手に入れた持ち主。
その力を使って電車内で相手を逃がさぬよう痴漢行為に及ぶのです。
なので被害者となる美雨の実際に口から出る声、そして心の声が同時に聞こえてくるようになっています。
心の声を取り入れた作品自体は数は多くないながらも存在しますが、今作は台詞の言葉選びや間、編集が素晴らしいと思います。
二つの声が聞こえる状況ながらも、自然と没入できるように感じましたし、最初は拒んでいた状況から堕ちていく様子が伝わりやすかったです。
一つ難を挙げるとしたら、あえぎ声の激しいシーンになると心の声と実際の声の加工の差が分かりにくくなり2人分の声に聞こえてしまうことでしょうか。

結末は聞いてみてのお楽しみです。