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人に認めてもらうということさえ「承認欲求」という概念にまとめられ、それを鬼の首をとったようにあちこちで振り回し、もはやシンプルな「褒められて嬉しい」というような感受性が相対化の海に溶けてゆく現代。そういう中でこの作品に出合ったことは、まさに奇跡と呼ぶ他ありません。人とつながることが薄く広がり、簡単になり、個々人の関係性も、何もかもがインターネットによって可視化され、単純化されてしまった現在では、1対1の体温なんてどこで見つければよいのでしょうか。回答の一つがこの作品でしょう。一見すれば用意された台本を読みあげ演じる音声を収録しただけのものですが、それこそ本作の根幹であり、すべてと言えるでしょう。涙したと言うレビュアー氏のように、個々人の想定する自由な文脈に解釈をゆだねることが結果的に可能となる「語りかけ」の本作品は、まさに現代人にとって心の糧となるでしょう。あなたにとっての一番のお姉ちゃんが、優しく抱きとめてくれるのです。置き去りにされた者たちの嘆きを、この作品は救い留めてくれるのです。科学が世界を支配する以前の人々は、「祈り」によって苦痛の日々の中に光を見出そうとしました。これらはあやふやなものであり、人々の信心に寄るものでしたが、現代ではより明確な形で救済を得ることが可能でしょう。それは正に「個々人の文脈に応対する」本作の特徴なのです。本品を再生し、「好き（はぁと）」と耳で木霊すれば「俺もお姉ちゃんが好き（はぁと）」とつぶやくのです。そうして一切が救われるのです。お姉ちゃん、好き（はぁと）