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「笑うあげは(1)」 的鑒賞
2017年12月21日 穂積 先生/女士
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座頭市がなぜ何度も実写映画化され、それなりの好評を得ているのか。 色々と理由はあると思いますが、「弱者が強者を叩きのめす下剋上の痛快さ」は筆頭と呼べるはずです。 全盲というのは五感の障害の中でも最も実生活への影響が大きく、それだけに社会的弱者に成りがちです。 本作でメインとなる黒髪の美女も往来を歩くのは白杖があっても一苦労で、都会の雑踏に惑わされて迷子になりかけるシーンも描かれたりします。 しかし、麻雀となると話は違います。 特段、漫画的な超能力を使っているわけではなく、捨て牌を声に出して言うルールを追加しているだけ、たったそれだけの情報源で、彼女は光ある者たちを打ち負かし、艶やかに微笑むのです。 痛快さをさらに奥深いものに昇華しているのは敵役の性根だと思います。 どうせ見えていないからと図々しいイカサマを仕掛ける男、相手が女で全盲だからと暴力に訴えようとする男、要するにクズ寄りが多いのです。 従って、ただでさ見えない不利さが輪をかけて危機的状況に持ち込まれます。 ところが、それすら鮮やかにいなして笑う、まるで完全犯罪を鼻歌まじりで解決する名探偵のような快感です。 加えて、彼女は自分の見えない目を怨む素振りが無いのが物語を明るくしていると感じました。 上記の通り困る事はあっても、それを楽しみ、大勝利をもぎ取れば満面の笑みを見せてくれるので、読む側も悲しい気持ちにはならないのです。
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