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名作ゲームと言うよりは、名作文学と表現する方が適切な内容でした。
とにかく作品の設定や展開が面白く、文章力も見事で、シナリオを進めていく毎にどんどん引き込まれていきます。
表示されるグラフィックや音楽も非常に雰囲気に合っていて、グロい所はとことんグロく、穏やかな所は妖しげだけど本当に心が安らぐように出来ています。
声優さんの演技力も素晴らしく主題歌も完璧と、一つの『物語』を作る上で重要な点は軒並み押さえてありますね。
しかしその分、『エロゲー』としての実用性はかなり厳しく、むしろこれがエロゲー……即ち『成人指定作品』として販売されているのは、
グロ表現の幅を広げる為と、作中の愛情表現の一つにセックスを取り入れたかったからではないでしょうか。
お客様に性的に気持ち良くなって頂くという意図は多分、殆ど含まれてはいないかと。

作中の選択肢は二つだけで、エンディングは三つしかありません。ボリュームもやや少なめです。
しかしどのルートも切なくて心に染み入るものがあり、本当にこの作品が名作文学の類だと思わせる魅力がありました。
また、過去に故手塚治虫先生の漫画で『火の鳥』を読んだことがある人は、沙耶の設定にロビタを想起したかと思います。
自分はしました。あちらもあちらで深く考えさせられるものがありましたが、こちらも同等かそれ以上に倫理観に訴えて来るものがあります。

なお、この作品をプレイする上でNTRに耐性が無い方は少し注意が必要です。
作中でヒロインが寝取られる訳ではありませんが、自らの不注意で強姦される場面があるからです。
なのでグロ表現の有る純愛は好きだけど、NTRだけは本当に無理という方は少し考えた方が良いでしょう。

個々の感想は結構割れやすいかと思いますが、自分は本当に名作中の名作と感じる内容でした。